カービングスキーの長所と短所


カービングスキーは、元々はワールドカップの回転競技用に開発された弧の深い(R20m程度)板で、ターンがし易いということから一般スキーヤーに受け入れられ一気に広まったようですが、サイドカーブが深過ぎる問題点もいくつかあります。

長所

レーサーにとっての長所は、サイドカーブが深くなった事で切れのある弧の小さなターンが行えるため、スピードを殺さずに無駄のない合理的なターンができる。

一般スキーヤーにとっては、板の後ろに加重してもサイドカーブが深いためターンが容易にできてしまう。

初級者は恐怖心により腰を引いて板の後ろに乗ってしまうので、この深いサイドカーブのおかげで少しの練習でもそれなりのお手軽ターンができてしまう。

また、昔のノーマルスキー板で滑っていたスキーヤーはテールに乗って板の後ろを左右にズラして振り回す傾向があったが、カービングスキーになってから振り回さなくてもターンが出来るためノーマルスキーの時よりターンが楽になって疲れなくなった感じられる。

板の中心に乗った小回り(ウェーデルン)では、ターンの切り上げが鋭くなるためスイングするような軽快な小回りが出来る。

★これはテールに乗って滑るスキーヤーには出来ない滑りでもあります。

短所

ノーマルスキー板で板の真ん中に乗って滑る人にとっては、カービングスキーで真ん中に乗ると切れのあるロングターンが出来なくなる。

★これは真ん中に乗って切れのあるターンをやろうとすると、深いサイドカーブに合わせたショートターンになってしまうので、あえて板のエッジを浅くしてキレの無いロングターンをするしかなくなってきます。

★板のテールに乗ればロングターンも安定するが、アイスバーンでテールが流れて不安定になったり、また後ろに乗る分腰を落としたり引いたり、体を後ろに起こしたりして見た目にも不自然な形や動きになってしまう。

初級者がカービングスキー板で簡単にターンが出来るようになっても、それは板の特性を利用したお手軽ターンであり、ワールドカップで通用するような本物のスキーヤーにはなれないという問題もあります。

★とはいっても、昔のノーマルスキー板で本物のスキーヤーになれない人が殆どでしたから、カービングスキーで本物のスキーヤーになれなくてもそれが短所とは言えないかもですね。

カービングスキー板でお手軽ターンを覚えてしまうと、スキー操作がいくら上手くても「上手いね」というレベルでワールドカップで優勝するような選手が育たないというのは、カービングスキーの短所プラスずっとその滑り方で通してきたコーチ陣の問題でもありそうです。

★お手軽ターンではなく、ノーマルスキー板でテールを振り回さないターンが自由自在にできれば、ワールドカップで通用するような選手にもなれるし、見た目にも物理的に無理のない姿勢や動きがカッコよく見えるようになります。

因みに、1980年代のノーマル板のラディウスを計測したところ、そのRは50mもありました。 私が今乗っている板も同じ50mです。(^_^;)

パラレルスキーCLUB